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written by 塩こーじ(シオ・コージ)
「スカパー!日本映画専門チャンネル」からはるか昔に録画したままずっと放置していた「OVER DRIVE」という邦画作品を先日、何の気なしに鑑賞しました。
ラリーにかける若者たちを描いた2018年公開の作品。全編にわたりすさまじいクルマの爆走シーンが展開されます。
物語の中心となるのは、ラリーチームに所属する一流メカニックの兄と凄腕レーサーの弟の兄弟。
本作のあといろいろとあった東出 昌大さんが兄の役を、レーサーの弟役を最近偉大なる父・千葉 真一氏を亡くされた新田 真剣佑(あらた まっけんゆう)さんが演じています。
物語はラリーの世界選手権をめざすレーサーたちの熱い戦いに兄弟のぶつかりあいやライバルとの確執もからめ、いかにもな青春もの映画という感じです。
見ものは何といっても迫力のラリーシーン。
ラリー仕様にチューンアップされたクルマがジャンプやスピンを繰り返しながら激走し、ときには派手にクラッシュします。
この映像だけでもすごいのですが、筆者的にはまた別の意味での「スゴさ」も感じてしまいました。
それは登場人物たちのあいだでかわされる激しい怒号まじりの会話の数々で、
そこにはラリーという競技のルールや試合の実況はもちろん、クルマの性能や構造、パーツのひとつひとつにいたるまで、部外者には馴染みの薄い専門用語がマシンガンのように連発されます。しかもそれらの用語に対して説明らしい説明はほとんどありません。
まあ、このての映画を見に来るのはほとんどがクルマ好きな人たちばかりなので、余計な説明は不要という作り手側の判断なのでしょうが、自分みたいにクルマやラリーにそれほどくわしくない人間には何が何だかチンプンカンプンです。完全に置いていかれてます。
ですが、その説明のなさが、逆にスゴさを感じさせる。
ビギナー向けの親切な解説を抜きに過酷なラリーの現場をひたすら見せ、観客の鼻面をつかまえて無理やり引きずっていくそのパワー。何がなんだかよくわからないけど、とにかくラリーというスポーツの現場のスゴさは伝わってきます。
あえて説明を排したストーリーづくりには、アマチュアが自分の趣味で撮った映像に通じる、事実をそのままにとらえたドキュメンタリーのようなリアリティがあります。
クルマ好きがクルマ好きのために作った、それ以外の観客はガン無視した(?)いさぎよさを感じてしまう、ある意味ブッ飛んだ映画でした。
何げなしに録画した映画からラリーの世界に触れたのですが、そのあと思いがけない偶然が……次回に続く。
(2021/11/18)
元記事 https://note.com/sio_note/n/nca8287d32f0a
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